2015年7月6日

 叶美香さんが好きだ。叶美香さんとか松井冬子とかああいった、でっかい美人が好きだ。美人がでっかいとその分美が世界を占める割合が大きくなるから嬉しいのだ。この二人にはいずれ「崖の上のポニョ」のグランマンマーレくらい大きくなって欲しい。グランマンマーレは救いだ。あんなでっかく優しく美しい人が海に居たら最高なのだ。世界のすべてをでっかい美人が抱きしめていて欲しい。ジブリってあんまり興味無いんですけど「崖の上のポニョ」という映画はとても素晴らしいですね。ジブリでいちばん好きです。わたしがかえる海にグランマンマーレが居たらいいと思います。叶美香さんの大きくて白くて柔らかくてあたたかい身体に抱かれて眠りてえ。うどん屋で光りてえ。猫を飼いたいと思っても家に帰って猫がにゃーんとしていたらそれはそれで不気味だと思うが、家に帰って部屋のドアを開けたら布団のうえに(わたしはベッドが嫌いで布団を敷きます)裸に薄いヴェールを纏った叶美香さんが横たわり「まあ、おかえりなさい」と言って微笑んでくれたら、もうそれだけで自分の人生は正しかったんだなと涙するだろう。このくだらない部屋を青い海で満たしてでっかい神様に抱かれて眠るんだ。
 意外と大きい子犬と、まるくて舌触りの悪い豆腐。
 才能が無いからどの台風もだめだった。喜びの数え方だけが天文学的だった。女は確かむかしサーカス団に入っていたかなんだかで、その舞台化粧の名残か、唇だけばかに赤かった。暗い夜道でもその唇は闇をはじいて赤かった。赤い唇はいつもわたしの聞きたくない言葉を知っているらしかった。聞きたくない言葉が煙になって電信柱に絡みついた。それを見た。浮浪者もそれを見ていた。足元の橋が崩れ落ち、きれいに額装されたすみれの花の絵が川を流れていった。それを見た。浮浪者もそれを見ていた。なにも続かなかった。いつも手紙をくれるときは、深い紫色の便箋を使う女だった。うまれてからただの一度だって、人を殺しちゃいなかったのに。