2015年2月5日



 1月29日。早起きしてレポートを終わらせようと思っていたのに、結局起きたのは13時半過ぎだった。ゆっくりスープを飲んで、ゆっくり出掛ける準備をして、16時20分頃に渋谷に到着した。文化村へ行くつもりが極度の方向音痴なので道に迷い、泣きそうになりながらセンター街辺りを疾走、なんとか35分の「毛皮のヴィーナス」に間に合った。映画館を出て、煙草屋で煙草を買い、フレッシュネスバーガーでポテトとチャイティーを頼んだ。19時半頃に店を後にし、遠回りしてO-WESTの下にあるローソン(昔はampmだったな、いつ変わったのだろう)に行きチケットを引換え、向かいにあるO-EASTに入った。バーカウンターは混んでいたので、手近にあったあまり好きじゃないハイネケンを手に取って壁に寄りかかった。客層はほとんどカップルだった。それは男女だったり同性同士だったりした。白人が多かった。
 TychoはDIVEのジャケット写真に惹かれて買った。2011年だから大学一年生の頃か。当時ミクシーのアイコンをこのジャケットにしていたような気がする。彼らの存在を知ったのも、今回の来日を知ったのも、インターネットからだった。
 ライブはずっと階段やらバーの椅子やらに座って聴いていたのだけど、そろそろいいかなと思って人混みに突入した瞬間にA Walkが流れてきて、みんなが一斉に、はあ、と溜息をついた。周りで抱き合っているカップルたちは、家の机の上にあるマッキントッシュを起動させ、アイチューンズからTの項目を探し、Tychoを流しながら、キスやセックスをしているのだろう。わたしはいつも寝るときに聴いていたから、ありきたりだけど、小さい頃から繰り返し見ていた不思議な夢に出て来る人たちが、大人になったある日、突然目の前に現れたみたいな気分だった。こういう感想を抱くことからも分かるけど、Tychoみたいな音楽は空間が重要で、それらは個人的な風景だから、ライブをやるのは難しいだろうなと思った。スコット・ハンセンが何度もビューティフル・ナイトだと言っていた。美しい晩だった。