2014年12月7日

 最初の退屈が終わったと思ったら、また次の退屈がやって来る。それをやり過ごすために左肘を掻き毟っていたら藤色の血が垂れて、クリーム色のシーツが汚れた。絆創膏を貼っても隙間から垂れ続けて止まらなかった。間も無くベッドは一面薄い紫色になった。裾からぼたぼたと血が滴り、床も徐々に汚れていった。これだけの血が流れてもなんの臭いもしなかったし、わたしの頭は冷静だった。止血するのは諦め、放っておくことにした。寝転がってノートパソコンを開いた。久し振りにキルズを聴いた。もうロック音楽をほとんど聴かなくなったと思った。Kissy Kissyが流れているときにちょうど、ドアが勝手に開き、無風の部屋に冷気が舞った。誰も居ないドアの向こう側目がけて、「あなたの言っていることは理解出来るけれど、全く感謝していないよ。何故ってあなたのことが嫌いだから」と言った。よく聞こえるよう、すこし大きめの声で言った。返事を待つ必要は無かった。すぐに立ち上がってドアを閉めた。そしてようやくこの部屋に、冬と音楽が満ちていった。